幸せという幻想、希望という夢。

ここを出て行くと決めた時、
恐ろしく実感したのは
私が何も荷物を持っていないこと。






私には何もないということ。






私は、決して死なずに
死ぬまで苦しめられ
老いていく身体とともに、
明日をいちから作るしかない。





死ぬことに躊躇するのは
幸せがもしかしたら待っているかもしれない
という希望。




希望がほんの砂粒程度でもあれば
人間はもう少し生きてみようか
などと考える。





そうやって、生きてきた。
しかし、希望は決して手に入らないもの。